ブランクのある薬剤師が転職を成功させるための9つのポイント

薬剤師 転職 ブランク

人生100年時代が到来し、なにがしかのブランク明けに再就職される薬剤師さんが増えています。今どき、珍しいことでもありませんし、特に薬剤師などの国家資格者は、最低限のスキルを国家が保証してくれていますので、他の業界よりもはるかに転職や再就職がしやすいのです。

 

子育てや介護でのブランクはもちろんのこと、これまで製薬会社などで働いていて、純粋な薬剤師業務が初めてのペーパー薬剤師さんに至るまで、転職をサポートさせていただく機会は増えています。時折、ブランクは何年まで許容されるのかご心配になられている薬剤師さんにお目にかかりますが、ドラッグストアや薬局であればほとんどご心配の必要はありません。研究職であれば、やはり薬学の進歩は目覚ましいので、ブランク期間は短ければ短いほど好ましいです。

 

ブランクというからには、過去に何がしかの職業をお持ちであったはずで、薬学部を卒業されてからおそらく新卒で、社会人としての一歩を踏み出されたのではないでしょうか。

 

この記事では、ブランクのある薬剤師さんが転職や再就職を成功させるための9つのポイントについて深ぼりします。

 

ブランク前の過去のキャリアを有効活用

ひょっとして新卒のときに経験した就職活動のイメージをお持ちかもしれませんが、ブランク明けの転職や再就職のプロセスはもう少し簡単です。ブランク明けで薬剤師として応募するということは、つまり企業側にとっては中途採用になるわけですが、この場合は、たとえ過去のものであったとしても、あなたのキャリアを提示することが可能です。まっさらで何もキャリアのない新卒の薬剤師よりも、企業側はあなたについて多くの判断材料をもつことになります。

 

過去の職場での成功体験をストーリーで伝えることもできますし、困難な状況にどのように対処したかについても、エピソードを語ることができます。これがあなたにとって有利な点ですがしかし、諸刃の剣でもあります。企業側は過去のあなたのキャリアについて具体的に知りたいと考えていますので、うまく伝えることができなければ、採用候補者から外されてしまうでしょう。ここは、薬剤師専門の転職コンサルタントの力を借りながら、ご自身のキャリアについて棚おろしをしましょう。

 

あなたのキャリアについてだけでなく、あなたがキャリアのブランク期間中に何をしていたのかを的確に説明することも大切です。何をしていたかだけでなく、その期間中に何を得たのかについても必ず伝えてください。介護や子育てといった分かりやすいブランクの理由がなくても構いません。人生100年時代の生き方と働き方を分析してベストセラーとなった『ライフシフト』によれば、若い世代であるほど、このような模索の期間は必要であり、むしを好ましいものなのです(ライフシフトでは「エクスプローラー」の期間と呼ばれています)。何をするためにブランクであったのかということよりも、そのブランク期間中にあなたが得たものを、ストーリーで語れるようにまとめておきましょう。転職コンサルタントは、ストーリーの作成についてもサポートしてくれるでしょう。ハローワークで求人を探す薬剤師さんはめったにいないかとは思いますが、あらゆる職業のコーディーネートをしているハーローワーク職員と、薬剤師専門のキャリアコンサルタントとではこの業界における知識量がまったく異なりますから、薬剤師専門の転職コンサルタントをいかに味方につけるかも転職成功のカギを握ります。

 

ブランク明け薬剤師に特有の困難な点

ブランク明けの薬剤師が転職する場合に、業務知識的なものについての心配はそうはいりません。薬学の進歩には目覚ましいものがありますが、1年や2年のブランクであればキャッチアップ可能です。

 

むしろ法制度の変化のほうが目まぐるしい可能性もありますが、影響を受けやすい調剤薬局に負担を感じるのであればまずOTCから復帰すればよいだけの話で、多くのクライアントはそれほど苦労はされていません。

 

とはいえ、ブランク明けの薬剤師さんであっても、ひとたび配属されれば、その年代に相応の役割が期待されることから、期待とスキルとのギャップにとまどうことがあるでしょう。それだけでなく、中堅採用候補者は初級レベルはクリアしているが、上級レベルの役割に必要なスキルを欠いていることが多いため、応募する求人の見極めも大切になります。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【1】:職場に望むものを明確にしましょう

あなたがまだ若くキャリア形成の初期にいらっしゃる場合には「柔軟性」が武器になりえたでしょう。若ければ、転勤にも応じられたでしょうし、あらゆる時間帯のシフトにも対応できたことと思います。

 

しかし多くのブランク明けの薬剤師さんは、家族を抱えていたり、すでにマイホームを持っていたりします。家族を抱えているママさん薬剤師であればお子さんの成長に応じて働くことができる時間帯に制約があるでしょうし、マイホームを持っていれば、そこから通勤圏内の職場を選ぶ必要があります。

 

どんなに魅力的な求人があっても、あなたの許容範囲に入る求人でなければ意味がなく、その許容範囲は若い頃より狭まっているかもしれません。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【2】:どこまで譲ることができるのか考えよう

あなたが完璧な人間ではないように、完璧な企業 / 求人などめったにありません。要するにお互いがどこまで許容できるかの問題であり、また優先順位の問題でもあります。あなたは過去のキャリアの経験から、譲ることができることとできないことを、新卒の薬剤師よりもはるかに的確にジャッジできますから、少し時間をとって考えてみましょう。転職コンサルタントとの会話の中で自分の願望を整理することができます。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【3】:キャリアプランの重要性を知ろう

近視眼的な転職活動をされる薬剤師さんは、目先の求人内容を比較することのみに意識を向けています。しかしブランク明けで人生の深みを知っているあなたには、きちんと長期のキャリアプランを作成することをお勧めします。長期のキャリアプランの作成には、薬剤師をとりまく労働市場や環境の変化も考慮する必要があります。もう若くない薬剤師さんの転職であれば今後の業界の変化を見据える必要はあまりなく目先のことだけでも事足りますが、若ければそうはいきません。

 

長期のキャリアプランをもっていないと、転職活動は迷走しがちになり、また、どの職場に就職するかの最終的な決断もブレブレになります。

 

ブランクを経た転職を考えているのなら、キャリアプランを立てることから始めましょう。あなたが次の職場で何を達成したいのかを明確にすれば、転職活動ははるかに簡単になります。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【4】:ネットワークを駆使して活用する

多くの薬剤師さんはいくつかのネットワークに参加しています。この場合のネットワークとは、卒業した学校のOB会であったり、過去に所属した会社の同僚の集まりであったりします。薬剤師は所属する集団(学校や職場)のみでネットワークを構成するのではなく、同じ資格者としての仲間意識もありますから、他の業界の転職者よりも、転職がやりやすい側面をもっています。

 

魅力のある有名企業がどのようなルートを通じて採用活動をしているかを考えてみれば、ハローワークでないことは間違いありません。今どき、魅力的な求人はハローワークには集まりません。私たちの親や祖父母の時代には、職業紹介は国の独占業務だったので、誰もが職を探しに「職業安定所(今のハローワーク)に出かけたものです。しかし薬剤師であるあなたが魅力的な求人に出会いたければ、薬剤師専門の転職エージェントにいくつか登録することになります。登録は無料でいくつものサポートを得られますから、利用しない手はありません。例えば、薬剤師専門の転職エージェントであれば、多くの企業の実際の面接で問われた質問などがデータとして蓄積されています。A社の面接に出かける前に、過去A社の面接で問われたキャリアブランクについての質問事項のリストを入手することができれば、大きなアドバンテージになります。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【5】:ブランクを肯定的にとらえて履歴書を再編成

何事にもプラスの側面とマイナスの側面とがあります。ブランクをマイナスと捉えず、何かを得た有意義な期間と再定義してください。そしてブランクの再評価をあなたの履歴書に反映させましょう。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【6】:面接に備える

ブランク明けの薬剤師採用はつまり、企業側にとっては中途採用を意味します。新卒ではないのですから、自信、経験、結果、そしてリーダーシップについて、アピールできなければ採用にいたらないでしょう。

 

新卒ではない以上、「一生懸命がんばります」アピールだけでは十分ではありません。一生懸命さだけが売りなのであれば、新卒を採用したほうが良いのです。採用担当者はあなたにもっと多くのことを求めています。あなたの服装 からあなたの履歴書の内容に至るまで、そして面接での質問に対するあなたの回答まで、あなたが適切にふるまえるように十分な準備をしてください。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【7】:過大評価も過小評価も避ける

多くの応募者からあなたを採用してもらう必要があるのですから、アピールは大切です。しかし過去のキャリアやブランク中の出来事について、過大評価しすぎたり、過小評価しすぎありすることは助けになりません。

 

採用担当者は、あなたが自分自信を、客観的にみて正しく評価していることを望みます。過小評価して自己評価の低い人と思われては損ですし、過大評価して勘違いしていると思われるのも転職活動にはマイナスです。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【8】:非公開案件にも目を向ける

非公開案件の存在を知らない薬剤師さんもいらっしゃいますが、薬剤師にかぎらず転職市場には非公開案件というもがあり、多くの場合、好条件がしめされます。

 

なぜ非公開案件なるものが存在するのか、広く公募したほうが優秀な人材が集まるのではないかとお思いかもしれませんが、非公開案件が存在するのには「大人の事情」があります。簡単に言えば、求人情報は企業戦略を如実に反映しているため、他社に手の内を知られないためにも非公開にしたい企業側の希望があるのです。

 

例えばある企業B社で40代の薬剤師が不足しているとします。40代の優秀な薬剤師をまとまった人数採用する必要があるので、好条件を提示するとします。これは当然のことながら、他社で働く40代薬剤師を「引き抜く」政策なので、道義上オープンにしにくい事情があります。また、戦略上もオープンにできない事情があります。あの企業は40代の薬剤師が不足していて引き抜きをしているようだということが業界に知られれば、引き抜きされたくない他の企業が同レベルに待遇を引き上げて防戦することになるからです。

 

そうすると、B社がそれでも40代薬剤師の引き抜きをしなければならない社内事情がある場合、他社の上をいくさらなる好条件を提示しなければならず、どんどん採用コストが上昇してしまうのです。

 

したがって、他社に知られたくない人事戦略上の求人は、多く非公開となり、かつ、引き抜き目的のため好条件の提示が多いのです。この非公開案件が提示される点も、ハロワークではなく転職エージェントを活用するメリットのひとつです。

 

転職エージェンシーは登録利用が無料です。転職エージェンシーは転職が決まった場合、あなたではなく企業側から報酬をもらいます。転職が成功してなんぼの世界ですから、非常に充実したサポートを提供しています。利用しない手はないでしょう。

 

ブランク明け薬剤師の転職のコツ【9】:高い目標

ブランク薬剤師さんも、多くの方が非公開案件を含む良い待遇の職場で採用されています。国家資格でスキルが保証されている薬剤師は、ブランクがあっても再就職が可能です。高い目標を掲げ達成することを恐れないでください。

 

 

この記事を書いた人(著作権者)

船越ミキト(転職コンサルタント、ファーマシス™所属ライター)

 

 


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