40代の薬剤師が、転職を成功させるために知っておくべきこと

薬剤師転職40代

40代ということは、あなたはすでに薬剤師として(あるいは薬剤師でない職についていても)20年以上の職業上のキャリアがあるはずです。中には子育てなどでブランクを経験した方もいらっしゃるでしょうが、多くの方は薬剤師として十分な経験を有しています。

 

薬局であろうと病院であろうと、あなたが今の職場に留まるのであれば、少なくとも定年までは働くことになるでしょう。かつては終身雇用制のもと、薬剤師も1つの企業で職業人生を終えることは多かったのです。

 

しかし今、あなたは何らかの原因で転職を考えています。薬剤師が転職を考える理由については、別の記事をご用意していますので、ご興味があればそちらもお読み下さい。

 

かつては33歳が転職の限界などと言われていましたが、そして、そもそも転職そのものが肯定的にとらえられていませんでしたが、人生100年時代を迎えるにあたって、そのようなことは過去のものになっています。とりわけ薬剤師は国家資格によりポータブルな(持ち運び可能な)スキルを有していますので、転職がしやすい仕事なのです。

 

40代での転職は、たしかに30代に比べれば選択の余地が狭まります。しかし定年後に第二の職場として再就職する薬剤師が多いことを考えれば、40代での転職に尻込みする必要はありません。

 

人生100年時代の生き方と働きかたを分析してベストセラーとなったリンダ・グラットン著『ライフシフト』によれば、人生100年時代になると、60代での定年はいろいろな意味で早すぎており、70代、80代まで働くことが求められるとしています。仮に75才で仕事から引退したとしても、100歳までには25年もの引退後の人生があるわけです。60歳で引退してしてしまったら、その後の40年を年金と貯金で暮らさなければならず、とても生活がもたないのです。

 

そのような人生100年時代においては、終身雇用制のもと、ひとつの企業で職業人生を終わることはなく、何度も転職を経験し、いくつものステージを経験することになります。そして多くの移行(=転職)を経験する時代においては、「変身資産」が大切になります。『ライフシフト』は、「私たちは、考えることではなく、行動することによって変化に到達する。そうした新しい経験に対して開かれた姿勢こそ、変身資産に活力をもたらす。」としています。

 

40代で転職を考えているあなたは、何かしら満足できないものを感じているはずです。そしてその思いを抱えたまま、60歳の定年はおろか、人生100年時代を迎え70代、80代まで働くことは困難なはずです。いずれどこかでは、転職を経験することになるでしょう。そうであれば、早めに転職を経験し、「変身資産」を蓄えたほうが長期的にも有利かもしれません。

 

40代でキャリアを変更をすることのメリットとデメリットを比較検討することは、転職するにせよしないせよ、あなたの意思決定に役立つでしょう。

 

40代の薬剤師が転職することのメリットを考えてみましょう

40歳になったときに自信が高まったと多くの人が報告しています。もう若くはないということは、裏を返せば、十分な経験を積みつつあるということであり、これが自信につながっているん尾です。 

 

日本ではまだ60歳定年の企業も多いですが、徐々に65歳定年になりつつあります。そして、いま40代の薬剤師が60代になるころには、すでに70代まで仕事をすることが当たり前になっています。そうすると、あなたはこれから30年近く働くことになります。そう考えれば、40代の今ここで、転職をすることは遅い決断ではなく、まだ早い決断なのだと気づくでしょう。

 

転職はあなたの人生、健康、そして人間関係に影響を与えます。間違った(とご自身が感じている)職場の中にいることはストレスが多いだけでなく、変身資産を構築するチャンスをみすみす逃すことでもあります。

 

40代の薬剤師による転職が直面する困難はなんでしょうか

40代になると、子供はだんだんと成長して手がかからなくなる半面、教育費などでお金のかかる時期にさしかかります。40代ですと、もうすでにマイホームを持ち、住宅ローンを背負っている人の割合も高まります。現実の問題として、給料は少なくてもよいから働き甲斐さえあれば良いというわけにはいかない世代です。

 

40代の薬剤師が転職を乗り越えるコツ

まずは、先に挙げた中年期の転職に伴う金銭的な束縛にげんなりしないことが大切です。親や祖父母の世代は転職を経験することはあまりなかったにせよ、世代には世代の課題があり、いま40代の人々は、現実に人生100年時代を生きることとなり、転職は一生に何回かは遅かれ早かれ経験するのです。

 

40代の薬剤師の転職活動は30代の転職活動よりも少しだけ時間がかかる傾向にありますが、しかし非公開求人の案件をみてみても、多くの求人があります。困難を乗り越えれば、あなたは新しい時代を生き抜くために必要な「変身資産」を手に入れ、次の来るべき転職(例えば65歳以降の)にも活用できるでしょう。

 

40代のあなたは、あなたのことだけを考えられる環境にはないかもしれません。もし経済的な必要ですばやく次の仕事をみつける必要がある場合には、あまり大胆な「変身」にチャレンジすることは困難かもしれませんが、薬剤師のこれまでのキャリアを有効に活かして、より有望であなたの納得のいく職場に転職しましょう。

 

過去のキャリアで培った経験を活用しよう

40代の薬剤師は重宝されています。20代の新卒薬剤師の長所は、若く柔軟性があり、会社の文化に染めやすいところです。いっぽう、もう20年も社会人をされているあなたには、かつてのような活力や、柔軟性はないかもしれませんが、その代わりに「経験」があります。この経験は、20代の薬剤師がこれから20年の時間をかけないと手にすることができない貴重な資産です。

 

そして、社内の薬剤師の人数が年配者や若年者に偏っていて、中堅の薬剤師を増やしたいと考えている会社は数多あります。そのような求人は、募集人数やそのオファーの内容から会社の人事戦略を如実に反映するため、他社に知られないよう、転職エージェントを通じて募集される「非公開求人」となることが多いです。

 

ただしひとつアドバイスをするとすれば、40代であるあなたはまだこの先、少なくとも25年から30年近く仕事をしていくということです。

せっかく次のステージに移ろうとしているのですから、正しいステージに移る必要があります。そのためには、薬剤師を取り巻く労働市場が、この先10年単位のスパンでどのように変わっていくのかについて、ある程度の見通しをもっておく必要があるでしょう。

 

ネットワークを活用しよう

薬剤師の場合、大学のOB会や、過去に所属した会社の同僚などと、その後も付き合いのあることが多いです。学校・会社といった所属集団は変わっても、同じ薬剤師であるという大きな職能集団の仲間意識があるからかもしれません。いずれにせよ、転職の成功は、ネットワークの活用のいかんにかかっています。これはさまざまな研究により明らかにされています。多様な人的ネットワークに属している人のほうが、そうでない人よりも、望む職を得る可能性が高いのです。SNSでつながりを取り戻したり、もしそのようなネットワークに今のところ属していない場合は、いくつかの転職エージェントに登録して、コンサルタントのサポートを受けましょう。薬剤師に特化した転職エージェントには、現在の求人が集まっているという利点だけでなく、多くの過去の成功者からの様々なデータが蓄積されているところにあります。うまく活用しましょう。

 

この記事を書いた人(著作権者)

八坂トモキ(転職コンサルタント、ファーマシス™所属ライター)

 

 


薬剤師の転職を成功にみちびく13のヒント

薬剤師の転職を数多くサポートしてきたキャリアコンサルタントが、薬剤師の転職を成功にみちびくためのヒントを13トピック解説しています。>>>